| RCの戸建住宅の改装工事である。玄関より室内に入ると、荒々しい、しかし落ち着いた表情の間仕切壁が正面に立ち現れる。
 壁に沿うように歩き、角を曲がると、正面に庭への開口部が現れ、外部へと視線が抜ける。
 リビング側に来ると間仕切り壁は、包み込むようたたずむ。
 壁の一部にあけられたスリットには、アクリル塊が嵌め込まれている。
 リビングには、廊下の掛け花入れに生けられた花の表情を伝え、
 廊下には、アクリル内を乱反射したきらめく光が到達する。
 キッチンの奥には、出窓に面した小スペースを用意した。
 お茶を飲む、音楽を聴く、休憩する。
 そんな小さなアクティビティを内包する室名のない空間であり、
 大きなワンルーム空間の中の小さな隠れ家である。
 かつてのキッチンについていた横長の窓は、
 ダイニングに座ったときに比叡山を眺めることができるピクチャーウィンドウとなった。
 LDKの3室を大きなワンルーム空間へと変貌させたわけだが、
 間仕切壁を中央に置き、その空間的意味に変化を与えることで
 3室以上の多様な空間をつくりだした。
 庭や眺望などの魅力的なポテンシャルを、改装により顕在化させることができた。
 
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